会社継続の登記

会社継続


会社の継続とは、解散した株式会社が株主総会の決議により解散前の状態に復帰することをいいます。
会社は、次の①から③までに掲げる事由によって解散した場合には、清算結了以前であれば、いつでも株主総会の特別決議によって会社を継続することができます。
① 定款で定めた存続期間の満了
② 定款で定めた解散事由の発生
③ 株主総会の決議

解散したものとみなされた休眠会社の継続
休眠会社は、解散したものとみなされた後3年以内に限り、株主総会の特別決議によって、会社を継続することができます。

しかし、会社の存続が第三者の利益や公益に反すると認められる場合には、会社の継続は認められません。したがって、解散命令や解散判決による解散の場合には、会社の継続は認められないことになります。

ここでは、主に、株主総会の決議によって解散した株式会社が、継続する場合についてご説明します。

会社継続の登記(休眠会社以外の場合)


会社が解散をした後、その解散の登記未了の間に会社を継続した場合には、解散及び清算人等の登記をした上で、会社継続及び取締役等に関する登記を申請しなければなりません。

なお、解散から継続に至る登記は一括して申請することができますが、この場合の登記の申請人は、会社の継続後当該会社を代表する取締役がすることとなります。  

継続の登記の前提として必要な取締役等の就任、機関設置等の登記
1 取締役等の就任登記
株主総会で会社を継続する決議をしても、職権で抹消された取締役、代表取締役、取締役会設置会社である旨の登記等が当然に復活するものではありません。会社を継続するための登記をする前提として、1人以上の取締役の就任の登記が必要になります。取締役会設置会社においては3人以上の取締役及び代表取締役並びに取締役会設置会社である旨の登記が必要になります。

2 機関設置の登記
解散の登記と同時に職権で抹消された機関(会計参与、会計監査人等)を改めて置く場合には、その設置及び就任の登記が必要になります。

3 継続した会社の監査役の任期について
清算株式会社の監査役については任期の定めはありませんが(会社法480条2項)、会社が継続すると監査役の任期が復活します。

会社の継続を決議した場合であっても、清算株式会社の監査役の任期はなく、かつ、会社の継続はその退任事由とはなっていないので(会社法480条1項)、原則として、継続によって監査役が退任することはありません。

ただし、会社の継続の時において、定款又は法律の規定による監査役の任期が既に満了している場合には、会社の決議をした時をもって監査役は任期満了により退任します。

登記手続(休眠会社以外の場合)
なお、監査役については任期は満了していないものとします。

登記事由
・会社継続
・取締役及び代表取締役の変更
(その他必要に応じて)
・取締役会設置会社の定めの設定(取締役会設置会社の定めをする場合)
・存続期間の定めの廃止
(存続期間の満了により解散した場合は、継続登記の前提として、存続期間の延長による変更又は廃止の登記が必要です)

添付書面
・株主総会議事録
・株主リスト
・取締役会議事録(又は取締役の互選書)
・就任承諾書
・印鑑証明書
・委任状

〇印鑑届書
登記申請の添付書面ではありませんが、印鑑提出者の資格が代表清算人から代表取締役に変更になるため、代表取締役は、その印鑑を登記所に提出して、申請書又は司法書士への委任状に、提出した印鑑と同一の印鑑を押さなければなりません。

印鑑証明書は、就任する取締役及び代表取締役を選定した取締役会議事録に押印した監査役の全員の印鑑証明書が必要になります。

解散当時の代表取締役が会社継続に際し代表取締役に再選された場合でも、再任には該当せず、個人の印鑑証明書の添付を省略することはできません。又、代表清算人であった者が会社継続後の代表取締役に選定され、取締役会議事録に登記所届出印を押印した場合であっても、前任者が法務局への届出印を押した場合には印鑑証明書の添付を不要とする商業登記規則61条6項ただし書の適用はありません。前任者は取締役でなく清算人であり、再任でないからです。

会社継続登記の費用・報酬等(休眠会社以外の場合)


登録免許税

4万円(資本金の額が1億円以下の会社)又は6万円 ~ 10万円又は12万円

内訳
・会社継続 3万円
・取締役及び代表取締役の変更 1万円(資本金の額が1億円以下の会社)又は3万円
・取締役会設置会社の定めの設定 3万円
・存続期間の定めの廃止 3万円

司法書士に依頼した場合の手数料
上記の登記を司法書士に依頼した場合の司法書士の手数料は、事案により、4万円~9万円程度です。

休眠会社の整理・みなし解散


休眠会社とは
休眠会社とは、株式会社であって、当該株式会社に関する登記が最後にあった日から12年を経過したものをいいます。

休眠会社は、法務大臣が定める一定の手続ををしなかったときは解散したものとみなされ、登記官の職権で解散の登記がされます(みなし解散)

旧商法では、最後の登記後5年を経過した株式会社を休眠会社としてみなし解散の対象にしていましたが、会社法では、株式譲渡制限会社は取締役・監査役等の任期が最長10年に伸長できることになったので、最後の登記後の期間が12年に伸長されました。

休眠会社整理の手続(法務大臣による公告と登記所からの通知)


1 法務大臣による官報公告
法務大臣が、休眠会社に対し、2か月以内に法務省令で定めるところにより、会社の本店所在地を管轄する登記所に「まだ事業を廃止していない」旨の届出をすべき旨を官報に公告します。

2 登記所による休眠会社への通知
登記所は、1の官報による公告があったときは、休眠会社に対し、その旨の通知を発しなければなりません。

3 2か月の期間の経過
休眠会社が、1の届出をしないときは、官報で公告された2か月の期間の満了の時に、解散したものとみなされます。官報で公告された2か月の期間内に当該休眠株式会社に関する登記がされたときは、会社は、解散したものとみなされません。

4 休眠会社が、事業を廃止していない旨の届出をせず、当該期間内に当該休眠会社に関する役員変更等の登記もしないときは、官報で公告された2か月の期間の満了の時に、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をします。

会社継続の登記(休眠会社の職権解散登記があった場合)


休眠会社のみなし解散があった場合には、解散登記は、登記官の職権でされます。したがって、清算人及び代表清算人の就任登記を申請する必要があります。この場合においては、定款に別段の定めがない限り、解散時に取締役・代表取締役であった者が清算人・代表清算人となる法定清算人の登記が必要です。

この場合、解散時に取締役・代表取締役であった者を、そのまま清算人・代表清算人として記載すればよく、清算人としての就任承諾書は必要ありません。したがって、解散時に取締役であった者で、行方不明で連絡が取れなくなっている人がいたとしても、会社継続の登記、清算人及び代表清算人就任の登記は申請することができます。

なお、継続の登記をしたときは、解散の登記、清算人及び代表清算人に関する登記等は、登記官が職権で抹消しなければならないとされています(商業登記規則73条)。

登記手続(休眠会社の職権解散登記があった場合)
登記事由は、休眠会社以外の場合と比べて、原則として、「清算人及び代表清算人の就任」登記が増えます。
解散時は取締役会設置会社でしたが、取締役会は設置せず、監査役の任期が既に満了している場合で、監査役の変更登記、監査役設置会社の定めの廃止の登記、取締役会設置会社でなくなるので、株式譲渡の承認機関を株主総会等に変更するのに伴う株式の譲渡制限に関する規定の変更登記も申請します。

登記事由
・令和〇年○月〇日清算人及び代表清算人の就任
・会社継続
・取締役、代表取締役及び監査役の変更
(その他必要に応じて)
・監査役設置会社の定めの廃止
・株式の譲渡制限に関する規定の変更

添付書面、代表取締役の印鑑の届け出、添付する印鑑証明書の通数については、会社継続の登記(休眠会社以外の場合)の場合と同様です。

会社継続登記の費用・報酬等(休眠会社の場合)


登録免許税

4万9,000円(資本金の額が1億円以下の会社)又は6万9,000円 ~ 7万9,000円又は9万9,000円

内訳
・清算人及び代表清算人の就任 9,000円
・会社継続 3万円
・取締役、代表取締役及び監査役の変更 1万円(資本金の額が1億円以下の会社)又は3万円
・監査役設置会社の定めの廃止・株式の譲渡制限に関する規定の変更 3万円

司法書士に依頼した場合の手数料
上記の登記を司法書士に依頼した場合の司法書士の手数料は、事案により、5万円~9万円程度です。

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