法定相続持分で相続登記後の遺産分割

共同相続登記後の遺産分割協議による登記


いったん、法定相続分の割合による共同相続登記がされた後、共同相続人間で遺産分割協議が調った場合には、既にされている共同相続登記を抹消することなく、登記原因を「年月日遺産分割」、共有持分を取得する人を権利者、共有持分を失う人を義務者として共同申請により持分移転登記をすることができます。

遺産分割の効果は相続のときにさかのぼって効力を生じますが(遺産分割の遡及効 民法909条)、「遺産分割」を原因とする場合の原因日付は遺産分割協議が成立した日となります。

遺産分割の遡及効を強調して、更正登記の方法によるとの考え方もありますが、当初の共同相続登記自体何らの過誤はなく、更正登記の要件を欠くものと考えられ、また、移転登記の方法によるのが権利変動の過程を正確に公示しようとする不動産登記制度の趣旨に合致するものと考えられます。

共同相続登記後の遺産分割による権利移転の登記を「遺産分割による登記」と称していますが、これは、売買等の一般の所有権移転登記手続と異なるところはありません。たとえば、共同相続人A、B、C名義の共同相続登記がされた後、Aの単独所有とする遺産分割協議が成立した場合には、一般の場合と同様、Aを登記権利者、B及びCを登記義務者とする共同申請により、B及びCの各持分全部のAへの移転登記を申請することになります。

遺産分割による登記の申請書、費用、報酬等


法定相続分(A、B、C各持分3分の1)による共同相続の登記をした後に、Aの単独所有とする遺産分割協議が成立し、その結果に基づいて移転登記をする場合の登記申請書の記載例です。

        登 記 申 請 書

登記の目的  B、C持分全部移転①
原   因  令和○年○月○日遺産分割②
権 利 者    千葉市稲毛区○○三丁目1番24号        
        持分3分の2 A
義 務 者    東京都杉並区○○一丁目12番13号2F
                    B
       東京都葛飾区○○三丁目35番23号
        C
添付情報
    登記原因証明情報③ 登記識別情報④ 住所証明情報⑤ 
  印鑑証明書⑥    代理権限証明情報
令和○年○月○日申請 東京法務局○○出張所
代理人     千葉市中央区中央港1丁目2番20号
         ○○○○
連絡先の電話番号 ○○○-302-8331
移転した持分の課税価格    金1,000万円⑦
登録免許税金 金4万円⑧
不動産の表示 (省略)

① 「B、C持分全部移転」又は、「Aを除く共有者全員持分全部移転」としてもかまいません。
② 遺産分割協議が成立した日を記載します。
③ 登記原因証明情報として、遺産分割協議書又は遺産分割協議があったことの証明書を添付します。
④ 登記義務者が当該不動産の持分を取得した際の登記識別情報又は登記済証を提供又は添付します。
⑤ 住所証明情報として、登記権利者の住民票の写し又は戸籍附票を添付します。
⑥ 登記義務者の作成後3か月以内の印鑑証明書を添付します。
⑦ 移転した持分に相当する価格のうち、1,000円未満を切り捨てた額を記載します。
⑧ 登録免許税は、課税価格の1000分の4です。

★登記権利者と登記義務者の共同申請であり、又、登記原因が「相続」ではないので、相続証明情報(戸籍関係書類)の添付は不要です。

司法書士に依頼した場合の手数料
上記の登記手続を司法書士に依頼した場合の司法書士の手数料は、4万円~7万円程度です。

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