登記名義人住所・氏名変更登記


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1 登記名義人

登記名義人とは、登記事項証明書の「権利者その他の事項」欄に権利者として記録されている人のことをいいます。所有権の登記における所有者、抵当権の登記における抵当権者等がその例です。

登記名義人とは権利に関する登記の現在の登記名義人を指すので、権利の登記であれば所有権に関する登記であると、所有権以外の権利に関する登記であるとを問わず、また、本登記であると仮登記であるとを問いませんが、表示登記の所有者、抹消された権利の登記名義人、所有権、抵当権の移転登記等がなされている場合の前登記名義人は含まれません。

なお、法64条では、「登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更の登記又は更正の登記」としていますが、会社等の法人の場合の商号、本店、主たる事務所の変更又は更正も含まれることはいうまでもありません。

2 登記名義人住所・氏名変更登記が行われる場合
登記名義人住所・氏名変更登記は、独立して行われることは少なく、他の権利登記の前提として行われることが多いです。たとえば、所有権の登記名義人が登記義務者として登記の申請をする場合に印鑑証明書の添付が要求されていますが、印鑑証明書の氏名、住所の表示と登記簿上の氏名、住所の表示が異なるときは、法25条7号により登記申請が却下されるため、登記名義人住所(氏名)変更、更正の登記をして、登記簿上の氏名、住所を印鑑証明書の氏名、住所に一致させる必要があるためになされます。

不動産を買った後に住所を移転することはよくあることです。しかし、住所が変わったからといって、すぐに住所移転の登記をする人はあまりいません。しかし、いざ必要なときにあわてないためにも、なるべく早めに変更登記をしておくべきです。

たとえば、所有権移転登記、抵当権抹消登記を申請する場合に、所有者の住所が変更している場合には、前提として住所変更の登記が必要になります。

3 申請人(単独申請)
権利に関する登記の申請は、登記権利者と登記義務者が共同して申請するのが原則ですが(法60条)、登記名義人の氏名若しくは名称又は住所についての変更登記は、性質上登記により不利益を受ける者はいないので、登記原因証明情報(変更証明情報)を添付して、登記名義人が単独で申請することができます(法64条1項)。

4 登記申請手続
登記名義人の住所、氏名の変更の登記を申請する場合には、添付情報として、変更事項を証明する「登記原因証明情報」が必要になります。

5 登録免許税
原則として、不動産1個につき1,000円です。


(1)所有権の登記名義人の住所が移転した場合


添付情報

登記原因証明情報として住所が移転した事実を証する住民票の写し又は戸籍附票の写しを添付しなければなりません。

住民票の写し等は、既存文書の登記原因証明情報なので、原本還付をすることができます。具体的には、住民票の写しのコピーに「原本の写しに相違ありませんと」記載し、申請人又は代理人が署名又は記名押印して、原本と一緒に提出してください。原本は、登記完了後に返却されます。
㊟! 「住民票の写し」とは、市区町村長から交付されたものをいいます。交付されたものをコピーしたものという意味ではありません。

① 通常の場合

登記の目的   所有権登記名義人住所変更
原   因   平成○○年〇月○○日住所移転
変更後の事項  住所 東京都港区○○四丁目3番2号


② 住所を数回にわたり移転した場合
登記名義人の住所の変更が数回にわたってなされている場合には、便宜最終の事由とその年月日を記載し、1個の申請により、直ちに現在の住所に変更の登記をすることができます。そして、住所変更証明情報は、それぞれ変更の経過及びその連続性を証明できるものでなければなりません。

③ 数回の住所移転後、登記簿上の住所に戻った場合
数回の住所移転を経た結果、登記簿に記載されている住所と同一の住所となった場合には、登記名義人住所変更の登記を申請する必要はありません。

④ 共有者の住所が移転した場合

登記の目的   所有権登記名義人住所変更
原   因   平成○○年〇月○○日住所移転
変更後の事項  共有者甲の住所
       東京都港区○○四丁目3番2号


⑤ 同一人に係る単有名義と共有名義の住所移転

登記の目的   所有権登記名義人住所変更
原   因   平成○○年〇月○○日住所移転
変更後の事項  所有者及び共有者甲の住所
       東京都港区○○四丁目3番2号


⑥ 
登記簿上の住所が同一である共有者甲・乙が同時に同一場所に住所移転

登記の目的   所有権登記名義人住所変更
原   因   平成○○年〇月○○日住所移転
変更後の事項  共有者甲・乙の住所
       東京都港区○○四丁目3番2号


(2)住居表示の実施により所有者の住所が変更した場合


添付情報
登記原因証明情報として、市区町村長が発行する住居表示実施証明書、又は、住居表示実施の記載のある住民票の写し等を添付します。

登録免許税
登録免許税は、非課税になります(登録免許税法5条4号)。

登記の目的   所有権登記名義人住所変更
原   因   平成○○年〇月○○日住居表示実施
変更後の事項  住所 東京都港区○○四丁目3番2号


(3)所有者の氏名に変更があった場合


登記原因
婚姻、離婚、帰化、養子縁組、離縁、婚姻又は縁組の取消し、裁判所の許可による氏名の変更等、原因のいかんを問わず「年月日氏名変更」とします。

添付情報
登記原因証明情報として、氏名変更のわかる戸籍謄本(又は抄本)と住民票の写しを添付しなければなりません。

戸籍謄本等は、既存文書の登記原因証明情報なので、原本還付をすることができます。

① 所有者の氏名を変更した場合

登記の目的   所有権登記名義人氏名変更
原   因   平成○○年〇月○○日氏名変更
変更後の事項  氏名 甲野花子


(4)法人の本店が移転、商号が変更した場合


本店移転の日、商号変更の日は、登記原因証明情報(法人の登記事項証明書)に記載された日です。

添付情報
登記原因証明情報として、本店移転、商号変更の事項が記載されている会社の登記事項証明書を添付します。
ただし、申請人欄に会社法人等番号を記載する場合には、登記事項証明書を添付する必要はありません。また、商号変更の場合においても、会社法人等番号を記載したときは、法人の登記事項証明書の提供に代えることができます。

① 会社が、本店を移転した場合

登記の目的   所有権登記名義人住所変更(注1)
原   因   平成○○年〇月○○日本店移転
変更後の事項  本店 東京都港区○○四丁目3番2号


(注1)
 登記の目的は、会社の場合でも「本店変更」ではなく「住所変更」とします。

② 会社が、商号を変更した場合

登記の目的   所有権登記名義人名称変更(注2)
原   因   平成○○年〇月○○日商号変更
変更後の事項  商号 平成株式会社


(注2)
 登記の目的は、会社の場合でも「商号変更」ではなく「名称変更」とします。

③ 持分会社が、株式会社に組織変更した場合

登記の目的   所有権登記名義人名称変更
原   因   平成○○年〇月○○日組織変更
変更後の事項  商号 平成株式会社


持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)が株式会社に組織変更した場合は、「年月日組織変更」を原因として所有権登記名義人名称変更の登記を申請します。

④ 特例有限会社が、商号を変更して通常の株式会社に移行した場合

登記の目的   所有権登記名義人名称変更
原   因   平成○○年〇月○○日商号変更
変更後の事項  商号 平成株式会社


特例有限会社が、その商号を変更して、通常の株式会社に移行した場合は、「年月日商号変更」を原因として所有権登記名義人名称変更の登記を申請します。


登記申請書 所有権登記名義人住所変更 見本


           登 記 申 請 書

登記の目的  所有権登記名義人住所変更(注1)

原   因  平成○○年○○月○○日住所移転(注2)

変更後の事項 住所 東京都杉並区○○三丁目22番1号

申 請 人      東京都杉並区○○三丁目22番1号
     (住民票コード12345678901)(注3)
         山田 修 ㊞ (注4)
        連絡先の電話番号 ○○-〇○○〇-○○○○

添付情報
  登記原因証明情報(注5)

平成○○年〇月○○日申請 東京法務局杉並出張所
 
登録免許税  金2,000円(注7)

不動産の表示
所   在  杉並区○○三丁目
地   番    116番9
地   目    宅地
地   積      148・46平方メートル

所   在  杉並区○○三丁目 116番地9
家屋 番号  116番9
種   類  居宅
構   造  木造スレート葺2階建
床 面 積  1階 44・71平方メートル
       2階 44・71平方メートル


(注1) 「所有権登記名義人住所変更」でも、順位番号を特定して「何番所有権登記名義人住所変更」でも、どちらでも差し支えありません。
(注2) 住民票の写しに記載されている住所移転の日を記載します。住所が数回移転してる場合には、最後に住所を移転した日を記載します。
(注3) 住民票コードを記載した場合は、住所の変更を証明する情報(住民票の写し)の添付を省略することができます。
(注4) 所有権の登記名義人の住所、氏名を記載し、署名又は記名押印します。ここに押す印は認印でもかまいません。
(注5) 登記原因証明情報として、住民票の写しを添付します。
(注6) 登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。


登記申請書 所有権登記名義人住所変更(会社の本店移転) 見本


           登 記 申 請 書

登記の目的  所有権登記名義人住所変更(注1)

原   因  平成○○年○○月○○日本店移転(注2)

変更後の事項 住所 東京都杉並区○○三丁目22番1号

申 請 人      東京都杉並区○○三丁目22番1号(注3)
        株式会社山田総業
      (会社法人等番号 0000-00-012030)
        代表取締役  山田 修

添付情報
  登記原因証明情報(注4)  代理権限証明情報(注5)
  会社法人等番号(注6)

平成○○年〇月○○日申請 東京法務局杉並出張所

代理人     東京都目黒区○○三丁目6番19-402号
           上念司朗  ㊞ (注7)
       連絡先の電話番号 ○○-〇○○〇-○○○○

登録免許税  金2,000円(注8)

不動産の表示
所   在  杉並区○○三丁目
地   番    116番9
地   目    宅地
地   積      148・46平方メートル

所   在  杉並区○○三丁目 116番地9
家屋 番号  116番9
種   類  居宅
構   造  木造スレート葺2階建
床 面 積  1階 44・71平方メートル
       2階 44・71平方メートル


(注1) 「所有権登記名義人住所変更」でも、順位番号を特定して「何番所有権登記名義人住所変更」でも、どちらでも差し支えありません。
(注2) 会社の登記事項証明書に記載されている本店移転の日付とその旨を記載します。
(注3) 変更後の事項として、新しい本店を記載します。
(注4) 登記原因証明情報として、本店移転の記載のある会社の登記事項証明書を添付します。ただし、会社法人等番号を記載すれば、会社の登記事項証明書の添付は不要となります。
(注5) 登記申請を代理人に委任した場合には、委任状を添付します。
(注6) 申請人欄に会社法人等番号を記載した場合には、「会社法人等番号」と記載します。
(注7) 委任を受けた代理人の住所、氏名を記載し、署名又は記名押印します。ここに押す印は認印でもかまいません。
(注8) 登録免許税は、不動産1個につき1,000円です。


登記申請書 所有権登記名義人住所変更(住居表示実施) 見本


           登 記 申 請 書

登記の目的  所有権登記名義人住所変更(注1)

原   因  平成○○年○○月○○日住居表示実施(注2)

変更後の事項 住所 東京都杉並区○○三丁目22番1号

申 請 人      東京都杉並区○○三丁目22番1号
         山田 修 ㊞ (注3)
       連絡先の電話番号 ○○-〇○○〇-○○○○

添付情報
  登記原因証明情報(注4)

平成○○年〇月○○日申請 東京法務局杉並出張所

登録免許税  登録免許税法第5条第4号(注5)

不動産の表示
所   在  杉並区○○三丁目
地   番    116番9
地   目    宅地
地   積      148・46平方メートル


(注1) 「所有権登記名義人住所変更」、又は、順位番号を特定して「何番所有権登記名義人住所変更」と記載します。
(注2) 住居表示実施証明書に記載されている住居表示実施の日を記載します。
(注3) 所有権の登記名義人の住所、氏名を記載し、署名又は記名押印します。ここに押す印は認印でもかまいません。
(注4) 登記原因証明情報として、市区町村長が発行する住居表示実施証明書、又は、住居表示実施の記載のある住民票の写しを添付します。
なお、住居表示実施証明書は、市区町村役場で、誰でも申請すれば無料で交付してもらえます。
(注5) 登録免許税は、非課税です。根拠条文を見本のように記載してください。


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