合同会社の社員の変更登記(社員の退社)


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社員の退社


社員の「退社」とは、持分会社の存続中に、特定社員の社員たる資格「社員権」が絶対的に消滅することをいいます。株式会社においては株式の譲渡制限はありますが退社の制度はなく、持分会社のみに退社の制度が認められています。

退社は、社員たる資格が絶対的に消滅する点において、持分の全部譲渡の場合と区別されます。持分の全部譲渡により譲渡人は社員たる資格を失いますが、社員たる資格自体は譲受人が承継します(相対的消滅)。

合同会社の社員の退社には、社員である資格を自ら退く任意退社と会社側の主導又は一定の事由の発生により強制的に退かせる法定退社があります。

退社に伴う持分の払戻しによる資本金の減少については、無限責任社員がいない合同会社に特有の債権者保護手続制度が設けられています。

社員が任意退社又は法定退社により退社する場合は、退社の時に、当該社員に係る定款の定めを廃止する定款変更をしたとみなされるので(会社法610条)、別途定款変更に係る手続は不要です。


任意退社


任意退社とは、会社法606条の規定に基づき、社員の意思によって持分会社を退社することです。
退社の効力は、退社をしようとする社員から会社に対する一方的意思表示によって生じます。他の社員の意思は関係がないです。

1.退社の予告

定款で存続期間を定めなかった場合又はある社員の終身の間会社が存続することを定めた場合は、6か月前までに予告することで、事業年度の終わりにおいて退社することができます。また、定款で別段の定めをすることもできます(会社法606条1項・2項)。

予告による退社の意思を事業年度の終了の時の6か月前までにしたときは、事業年度の終了の時に当然退社の効果を生じ、重ねて退社の意思表示をする必要はありません。この退社の意思表示は会社を代表する社員に対して行います。

退社の予告の意思表示は、持分会社に対する一方的意思表示によって効力を生じ、他の社員の同意を要しません。

2.やむを得ない事由
定款による持分会社の存続期間の定め(会社法606条1項)、又は退社制限の定め(同条2項)の有無にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができます(同条3項)。

この退社の意思表示は、やむを得ない事由によって退社しようとする社員の持分会社に対する一方的意思表示によって効力を生じ、他の社員の同意を要しません。

ここでいう「やむを得ない事由」とは、社員が単に当初の意思を変更したというだけでは足りず、定款規定を定めた時や入社・設立時に前提としていた状況等が著しく変更され、もはや当初の合意どおりに社員を続けることができなくなった場合等がこれにあたるとされています。

「やむを得ない事由」により退社する場合は、予告することを要せず、また、事業年度の終わりを待たず告知により直ちに退社の効力が生じます。


社員の退社に伴う持分の払戻し


1.原則
退社した社員は、その出資の種類を問わず、2.の場合を除き、その持分の払戻しを受けることができます(会社法611条1項本文)。

2.相続等の承継加入があった場合
定款の規定に基づき、死亡した社員又は合併により消滅した社員の一般承継人が社員となった場合は(会社法608条1項、2項)、持分の払戻しを受けることはできません(会社法611条1項ただし書)。

3.金銭による払戻し
退社した社員の持分は、その出資の種類を問わず、金銭で払い戻すことができます(会社法611条3項)。
この場合には、当該退社した社員の出資に係る資本金の額が減少することになります。


債権者の異議手続


合同会社が社員の退社により資本金の額を減少する場合には、当該合同会社の債権者は、当該合同会社に対し、資本金の額の減少について異議を述べることができます(会社法627条1項)。

この場合、合同会社は、当該資本金の額の減少の内容及び債権者が1か月を下らない一定の期間内に異議を述べることができる旨を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければなりません。

そして、債権者がこの期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該資本金の額の減少について承認をしたものとみなされますが、債権者がこの期間内に異議を述べたときは、合同会社は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません(会社法627条4項、5項)。

資本金の額の減少は、これらの債権者の異議手続が終了した日に、その効力を生じます(会社法627条6項)。したがって、債権者の異議手続をとって、その終了を待って、退社する社員に対する持分の払戻しをすることになります。


業務執行社員の退社及び資本金の額の減少の登記手続


資本金の額の減少の効力発生日から2週間以内に、その本店の所在地において、資本金の額の減少による変更の登記を申請しなければなりません。

登記すべき事項
1.退社する社員について、退社の旨及びその年月日
2.減少後の資本金の額及びその年月日

なお、合同会社においては、業務執行社員以外の社員については、登記事項とされていないので、その退社による変更登記を申請することを要しません。


登記申請書(やむを得ない事由による退社・資本金の額の減少)

 
          合同会社変更登記申請書

  フ リ ガ ナ   ヤザワギケン
1.商   号   合同会社矢澤技研

1.本   店   東京都文京区○○三丁目2番1号

1.登記の事由   1.資本金の額の減少
         2.業務執行社員の退社

1.登記すべき事項
「資本金の額」金○○万円
「原因年月日」平成○○年〇月〇日変更

「社員に関する事項」
「資格」業務執行社員
「氏名」矢澤詠一
「原因年月日」平成○○年〇月〇日退社

1.登録免許税   金4万円(注1)

1.添付書類
  退社通知書          1通
  業務執行社員の過半数の一致が
  あったことを証する書面    1通
  公告及び催告をしたことを
  証する書面          1通
   異議を述べた債権者はいない
  資本金の額が計上されたたこと
  を証する書面         1通
  委  任  状        1通

 上記のとおり登記の申請をする。

  平成○○ 年〇月10日

   東京都文京区○○四丁目2番1号
   申 請 人  合同会社矢澤技研

   東京都葛飾区○○三丁目3番1号
   代表社員    哀川 照

   東京都港区○○三丁目5番6号
   上記代理人 司法書士 ○○○○   
   電話番号 03-○○〇-○○31

           東京法務局  御中
・・


(注1)
 登録免許税
 ア 資本金の額の減少の登記 1件につき3万円
 イ 社員の変更の登記    1件につき1万円
  (資本金の額が1億円を超える会社については3万円)です。


やむを得ない事由により退社したことを証する書面

 
             退 社 通 知 書(注1)

  私は、今般一身上の都合によりアメリカ合衆国ワシントン市に移住
することとなりました。移住期間は相当長期にわたるものであり、貴社
の業務執行を続行することは不可能となりましたので、やむを得ず退社
いたしますから、私の持分の払戻しを願いたく、ご通知かたがた請求し
ます。

 平成○○年〇月○○日(注2)

           東京都杉並区○○四丁目9番13号
・               社員   矢澤詠一  ㊞(注3)

合同会社矢澤技研
代表社員  哀川 照 殿


(注1) 「退社届」としてもよいです。
(注2) この書面を作成した日を記載します。
(注3) 退社員が記名押印します。押すべき印鑑については制限がありません。


法定退社


法定退社とは、持分会社の社員に会社法で定める退社事由が生じた場合に、当該社員の意思にかかわらず退社しなければならない制度です。

1.法定退社事由
社員は、次の①~⑧の退社事由の発生により退社します(会社法607条1項)。

① 定款で定めた事由の発生
② 総社員の同意
③ 死亡
④ 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る。)
⑤ 破産手続開始の決定
⑥ 解散(前二号に掲げる事由によるものを除く。)
⑦ 後見開始の審判を受けたこと。
⑧ 除名


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