合同会社の社員の変更登記(社員の加入)


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合同会社の社員の変更登記(加入・退社)では、資本金の変動に注意


株式会社の役員である取締役・監査役等は、株主(出資者)である必要はないので、役員変更登記手続(就任・辞任・退任等)の際に、資本金額の変更(増加・減少)を考える必要はありません。

これに対して合同会社の「役員」は、すなわち社員であり、社員となるためには出資が必須ですから、社員の変更に関する手続きでは、出資の額は当然として、資本金の増減を伴うかどうかを確認する必要があります。なお、持分会社で資本金の額が登記されるのは、合同会社だけです。


合同会社の社員の加入方法


合同会社では、業務執行社員以外の社員に関する事項は登記事項とはなっていません。したがって、以下に述べる社員の加入・退社・持分の譲渡に関して、業務執行社員以外の社員に関する事項に変更が生じた場合には、登記事項に変更が生じないため、変更登記申請をする必要はありません。ただし、業務執行社員について変更が生じた場合(加入・退社)には、登記事項に変更が生じるため、その変更登記を要します。

合同会社の社員の加入方法には、次の3つの方法がありますが、いずれの場合も、定款変更が必須で、加入する社員が業務執行社員や代表社員となる場合や、新たな出資により資本金が増加する場合は、原則として資本金額の変更登記が必要になります。
① 新たな出資による加入(他の社員から持分を譲り受けない加入)
② 持分の譲受けによる加入
③ 社員の死亡又は合併による加入

① 新たな出資による加入
(1)総社員の同意・定款の変更
社員の氏名又は名称及び住所は、定款の絶対的記載(記録)事項ですから(会社法576条1項4号)、新たに社員を加入させるには、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をしなければなりません(会社法637条)。

(2)社員となる時期
新たな出資による加入は、社員の加入に係る定款変更をした時にその効力が生じます(会社法604条2項)。ただし、合同会社では、社員の間接有限責任を実現するために全額払込主義が採られており、定款変更をした時に出資の払込み又は給付が履行されていない場合は、それを履行した時に社員となります(会社法604条3項)。つまり、定款変更と出資の履行のいずれか遅い日が加入の日となります。

(3)資本金の額の増加
社員が出資の履行をした場合には、合同会社の資本金の額は、原則として、当該出資により払込み又は給付がされた財産の範囲内で、合同会社が計上するものと定めた額が増加します(会社計算規則30条1項)。

したがって、社員の加入に伴う出資の履行によって資本金の額が増加したときは、社員の変更に加えて資本金の額の変更登記を申請することになります。

なお、株式会社と異なり、金銭の払込みを金融機関等の払込機関にしなくてはいけないという制約はないので、出資に係る払込みを証する書面として、通帳の写し等の他、代表社員の作成に係る出資金の領収書を添付することができます。現物出資の場合は、代表者の作成に係る財産引継書を添付すれば足ります。

② 持分の譲受けによる加入
合同会社では、社員は、他の社員の全員の承諾がなければその持分の全部又は一部を譲渡することができません(会社法585条1項)。ただし、譲渡する社員が業務執行権を有しない場合は、業務執行社員全員の承諾で足ります(会社法585条2項)。

譲渡について承諾を不要としたり、業務執行社員以外に譲渡する場合に限って他の社員の過半数の承諾を必要としたりなど、定款で譲渡要件を緩和又は強化することができます(会社法585条4項)。

業務執行権の有無にかかわらず社員の加入には定款変更を要しますが、非業務執行社員の持分譲渡に伴う定款変更は、持分譲渡の承諾要件と同様、業務執行社員の全員の同意ですることができ(会社法585条3項)、社員全員の同意までは不要です。

持分全部を譲り渡した社員は退社し、一部を譲り渡した社員は従来どおりの社員である地位にとどまります。

なお、持分の譲受けによる社員の加入は、出資額に変更がない限り資本金の額には変動がありませんので、資本金の額の変更の登記の申請は不要です。

③社員の死亡又は合併による加入
社員の死亡や合併等による会社の法人格の消滅は、法定退社事由ですが、定款で定めることにより、当該社員の持分、つまり社員である地位を承継することができます(会社法608条1項)。

たとえば、「相続が発生した場合には、相続人が承継加入する」と定めれば、相続が発生した時点で当然に、相続人が相続分に応じて社員である地位を取得します。この場合は、相続人全員の加入の登記をすることになります。

一部の相続人だけが加入を望む場合は、他の相続人が相続放棄をするか、いったん全員が承継加入した後に、加入を望む相続人に持分を譲渡し、他の社員について退社の登記をする方法によります。

他にも、「相続が発生した場合は、相続人が欲したときには承継加入することができる」として、相続人ごとの任意の意思表示によって承継加入することができる規定や、他の社員の同意を条件として承継加入することができる規定を置くことができます。

さらに、「特定の者(たとえば長男)が承継加入する」とする規定も認められています。

相続や合併等の承継に関する定めがある場合は、相続人その他の一般承継人が持分を承継した時に、当該承継人に係る定款の変更をしたものとみなされます(会社法608条3項)。相続であれば社員の死亡の日、合併であれば合併効力発生日が加入の日となり、登記に際して定款変更に係る同意書等の添付は不要です。

相続や合併等の承継に関する定めがない場合でも、相続人その他の一般承継人は、退社に伴う持分払戻請求権を出資して新たに社員として加入することができます。この場合は、総社員の同意等、会社が定める方法による定款変更が必要となります。


社員1名の合同会社で持分の全部を譲り受けて社員として加入する場合


登記申請書


          合同会社変更登記申請書

・ フリガナ        ヤザワギケン
1.商   号   合同会社矢澤技研

1.本   店   東京都文京区○○三丁目2番1号

1.登記の事由   1.業務執行社員の変更
         2.代表社員の変更

1.登記すべき事項

「社員に関する事項」
「資格」業務執行社員
「氏名」矢澤詠一
「原因年月日」平成○○年2月1日退社(注1)
「社員に関する事項」
「資格」業務執行社員
「氏名」哀川照
「原因年月日」平成○○年2月1日加入(注2)
「社員に関する事項」
「資格」代表社員
「住所」東京都杉並区○○四丁目9番13号
「氏名」矢澤詠一
「原因年月日」平成○○年2月1日退任(注3)
「社員に関する事項」
「資格」代表社員
「住所」東京都葛飾区○○三丁目3番1号
「氏名」哀川照
「原因年月日」平成○○年2月1日就任(注4)

1.登録免許税   金1万円(注5)

1.添付書類
  総社員の同意書      1通
  委  任  状      1通

 上記のとおり登記の申請をする。

  平成○○ 年2月10日

   東京都文京区○○四丁目2番1号
   申 請 人  合同会社矢澤技研
・ 
   東京都葛飾区○○三丁目3番1号
   代表社員    哀川照

   東京都港区○○三丁目5番6号
   上記代理人 司法書士 ○○○○   
   電話番号 03-○○〇-○○31

           東京法務局  御中

 ・
(注1)(注2)(注3)(注4)
業務執行社員の変更については「退社」「加入」、代表社員の変更については「退任」「就任」と記載します。
(注5) 1件につき1万円(資本金の額が1億円を超える会社については3万円)です。

印鑑届書
添付書面とはされていませんが、代表社員が変更する場合は、登記の申請時に、新しい会社代表者の印鑑の届出が必要になりますので、印鑑届書を提出します。

    印鑑届書 様式 Excel 法務局

    記載例 PDF 法務局

印鑑届出人本人の作成後3か月以内の市区町村長の証明した印鑑証明書も必要になります。


総社員の同意書


               同 意 書(注1)

1 業務執行社員 矢澤詠一 は、その持分全部(金30万円)を 哀川 照 に譲渡して退社し、哀川 照 はこれを譲り受けて有限責任社員として加入すること。(注2)

2 当会社の定款第5条、第6条及び第7条を次の通り変更すること。

(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第 5 条 社員の氏名、住所、出資の価額及び責任は、次のとおりである。
  住 所    東京都葛飾区○○三丁目3番1号
  金30万円  有限責任社員 哀川 照

(業務執行社員)
第 6 条 社員 哀川 照 は、業務執行社員とし、当会社の業務を執行するものとする。

(代表社員)
第 7 条 当会社の代表社員は、社員 哀川 照 とする。

上記に同意する。
・・
  平成○○年2月1日

    合同会社矢澤技研

           退社員   矢澤詠一   ㊞ (注3)


           加入社員  哀川 照   ㊞ (注3)


(注1) 本例は、総社員の同意によって社員の加入を承認し、定款を変更したものです。
(注2) この同意書には、持分の譲渡人と譲受人の記名押印がされているので、持分の譲渡契約書を添付する必要はありません。
(注3) 総社員及び退社員・加入社員が記名押印します。押すべき印鑑については制限がないので、実印である必要はありません。


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