目的の変更登記手続
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目的の意義 |
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会社がその定款に記載し、又は記録すべき「目的」とは、会社が営む事業内容をいいます。
会社は、法令の規定に従い、原則として、定款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負います(民法34条)。
すなわち、会社は、定款や登記事項証明書に「目的」として記載されている事業の範囲内でだけ活動することができ、「目的」として記載されてない事業は行うことができません。
目的の適格性 |
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会社の「目的」は、自社の株主や会社の機関だけでなく、会社の取引相手にとっても重要な意義をもっていますので、やりたいことなら何でも会社の目的にできるわけではなく、会社の「目的」には、①適法であること、②営利性を有すること、③明確性を有することの三つの要件を備えていることが必要であるとされています。
これを実務上は、「目的の適格性」といっています。
① 目的が適法であること
会社の目的が、法令により会社の事業として営むことを禁止された事業、又は法令により会社の事業として営むことまでは禁止されてはいないが公序良俗に反するものであるときは、それらの事業を会社の目的とすることはできません。
なお、一定の事業を営むことについて官公署の許認可等を要するものがありますが、これらは、許認可等を得なければその業務を営むことができないものであって、会社の設立や目的の変更そのものの許認可等とはなっていないので、許認可等がなくとも設立登記や目的変更登記は受理されます。
ただし、実際に事業を始める場合には、官公署の許認可や届出や免許が必要です。
② 目的が営利性を有すること
会社は、商行為(会社法5条)をすることを業とする目的をもって設立された社団、又は商行為をすることを業としないものであっても営利を目的として設立された社団であって、事業の遂行によって得た利益を株主等に分配するすることを目的としているので、会社の目的には営利性がなければならないことになります。
したがって、「政治献金」、「慈善事業」、「寄付」、「ボランティア活動」等営利性のない業務を会社の目的として登記することはできないこととされています。
③ 目的が明確性を有すること
登記は、会社の事業内容を「目的」として公示している関係から、登記に目的として公示された会社の事業内容は明確であって、誰でもその目的を理解することができるものでなければならないこととされています。
したがって、実務上は、目的中に使用されている語句の意味が明らかであり、かつ、目的全体の意味が明らかで、誰でもそれを理解することができるものであることとされています。
一方、会社の設立登記や目的変更登記では、目的中に外来語や専門用語を使用している事例が散見されます。これらについては、実務上、社会通念に従って目的の意味が明確であるかどうかを判断することになりますが、現実には国語辞典や現代用語辞典等において目的に使用されている語句が説明されている場合には、明確性を有するとして取り扱われています。
なお、その語句が専門用語辞典にのみ説明されている場合には、そのまま登記することはできないので、その語句の後に括弧書きでその語句の意味を簡潔に説明する等の方法により、目的を明確なものにしています。
目的の具体性について |
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・会社の目的を、「商業」、「事業」、「営業」、「サービス業」 ・、「商取引」、「製造業」等とする登記の申請は受理されます。 |
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会社法の施行により、類似商号規制が廃止されたことに伴い、会社の目的をどの程度具体的に定めるかは、会社が自ら判断すべき事項であるとされ、会社の設立登記等において、会社の目的の具体性については、登記官は、審査を要しないこととされました(平成18・3・31民商782号通達)。
そのため、「事業」、「営業」、「商業」のような抽象度の高いものや、※日本標準産業分類の大分類等を目的の記載内容とする会社の設立登記等を受理することができることとされました。
なお、目的の記載内容が抽象的にすぎる場合には、主務官庁の許認可を受ける場合、あるいは取引等において不利益を受けることがある場合も考えられますので、目的の記載については注意が必要になります。
※ 日本標準産業分類(平成25年改訂)による大分類としては、次のような項目があります。
A農業、林業、B漁業、C鉱業、採石業、砂利採取業、D建設業、E製造業、F電気・ガス・熱供給・水道業、G情報通信業、H運輸業、郵便業、I卸売業・小売業、J金融業・保険業、K不動産業、物品賃貸業、L学術研究、専門・技術サービス業、M宿泊業、飲食サービス業、N生活関連サービス業、娯楽業、O教育、学習支援業、P医療、福祉、Q複合サービス事業、Rサービス業(他に分類されないもの)、S公務(他に分類されるものを除く)、T分類不能の産業
株主総会の定款変更の特別決議(株式会社の場合) |
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目的は、定款の絶対的記載事項なので、目的を変更する場合には、必ず株主総会の特別決議で定款の変更をしなければなりません。
株主総会の特別決議とは、その(目的変更に関する)株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した株主の議決権数の3分の2以上に当たる多数をもって行う決議方法です。
なお、決議の効力発生に期限又は条件を付けることも差し支えありません。この場合は、期限の到来又は条件の成就によって、決議の効力が発生します。
目的の変更登記の申請手続き(株式会社の場合) |
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1 登記の申請期間
目的を変更するための定款変更決議の効力が生じた日から2週間以内に、その本店の所在地を管轄する登記所において、変更登記の申請をしなければなりません。
2 登記すべき事項
目的の変更の登記において、登記すべき事項は、
・① 変更後の目的
・② 変更の年月日 です。
別紙 登記すべき事項の記載例
・「目的」
・1.衣料品の卸販売
・2.不動産の賃貸及び管理
・3.前各号に附帯する一切の事業
・「原因年月日」令和1年6月1日変更
3 目的変更登記に必要な書類(添付書面)
・株主総会議事録
・株主リスト
・委任状(代理人によって登記を申請するとき)
4 登録免許税の額
・目的の変更の登記の登録免許税の額は、本店の所在地においては、申請1件につき3万円です。
・なお、登録免許税は、目的の変更と、商号の変更、発行可能株式総数の変更、公告をする方法の変更等を同一の株主総会の決議をもって行ったような場合に、これらの変更登記を同一の申請書で申請すると1件分3万円となり、登録免許税を節約できます。
総社員の同意による定款の変更(持分会社の場合) |
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(合同会社、合名会社、合資会社に共通)
目的は、定款の絶対的記載事項なので、目的を変更するためには定款の変更が必要です。持分会社は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって、定款の変更をすることができます(会社法637条)。
定款の変更の要件につき、定款で定めることができる別段の定めの内容については特に制限はありません。例えば、定款変更の同意要件を総社員の同意ではなく、社員の過半数、業務執行社員の過半数の同意としたり、特定の業務執行社員への委任も認められます。
目的の変更登記の申請手続き(持分会社の場合) |
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(合同会社、合名会社、合資会社に共通)
1 登記の申請期間
総社員の同意(又はある社員の一致)で定款を変更して目的の変更をしたときは、2週間以内に、その本店の所在地において、その変更登記の申請をしなければなりません。
2 登記すべき事項
目的の変更の登記において、登記すべき事項は、
・① 変更後の目的
・② 変更の年月日 です。
別紙 登記すべき事項の記載例
・「目的」
・1.衣料品の卸販売
・2.不動産の賃貸及び管理
・3.前各号に附帯する一切の事業
・「原因年月日」平成31年3月1日変更
3 目的変更登記に必要な書類(添付書面)
・総社員の同意書(注1)
・委任状(代理人によって登記を申請するとき)
4 登録免許税の額
・目的の変更の登記の登録免許税の額は、本店の所在地においては、申請1件につき3万円です。
(注1) 総社員の同意により定款を変更したときは、定款の添付を要しません。しかし、総社員の同意によらないで、ある社員の一致で定款を変更できる旨(例:総社員の過半数の同意を要する旨の定め)を定款で定めているときは、「ある社員の一致があったことを証する書面」及び「定款」を添付します。
当事務所への目的の変更の登記手続きに関するご相談、お問い合わせ方法 |
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