法定相続による相続登記
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各共同相続人の相続分は、まず、被相続人(死亡した人)の意思によって決められます。これを「指定相続分」といいます。このような相続分の指定がない場合には、各相続人の相続分は民法の定めた持分によります(民法900条、901条)。
また、共同相続人全員で、遺産分割協議をして法定相続分とと異なる相続分を決めることもできますので、遺言書がなく、遺産分割協議をしていない、遺産分割協議が不成立に終わったときなどは、法律の定めに従い法定相続分のとおりに登記することになります。
たとえば、相続人が配偶者と子2人の場合は、法定相続分は配偶者が4分の2、2人の子がそれぞれ4分の1、4分の1ですから、この持分で登記されます。
この登記の特徴は、法律の規定通りの相続登記ですから、遺産分割協議書、実印、印鑑証明書などは不要で、共有物の管理の保存行為として、相続人の1人から申請することができます。
法定相続分については、 相続法の基礎知識 のページをご参照ください。
法定相続による相続登記には注意が必要 |
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上記のとおり、法定相続分で登記をするのであれば、遺産分割協議書、実印、印鑑証明書、委任状は必要なく、他の相続人の同意を得ることなく、相続人の1人が勝手に法定相続人全員の名義で法定相続分による相続登記を申請することができます。
この場合、登記完了後に発行される登記識別情報は、申請人となった人にしか発行されないので、自分で登記申請した相続人の分だけ発行され、他の相続人の分は発行されないことに注意が必要です。
相続登記完了後、当該不動産を売却したり担保設定などをする際には、共有者全員の登記識別情報が必要になります。
登記識別情報が一部しかない場合の手続は、登記所からの事前通知による確認、司法書士が作成する本人確認情報、公証人の本人確認証明の3とおりがありますが、いずれにしても、余計な手間と費用がかかることになります。
もっとも、他の相続人全員から申請する相続人に対する委任状をもらって申請すれば、ほかの相続人の分も登記識別情報が発行されます。相続登記を法定相続人の1人から申請する場合、ほかの相続人からの委任状を必ずもらう必要があります。
この場合の委任状には、委任事項として、登記識別情報の受領に関する件も記載しないと、申請した人が登記識別情報を受領できないことになりますので、委任状には、登記識別情報の受領に関する件も必ず記載するようにしましょう。
なお、相続登記は、自分ひとりの法定相続分だけ登記申請するということはできません。当然、自分一人の相続分に相当する登録免許税だけ納付して登記ができるわけでもありません。
法定相続による相続登記の添付書類 |
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(民法で定められたとおりの各相続人の共有持分で相続登記する場合)
被相続人(亡くなられた方)
○住民票の除票又は戸籍の附票
(住民票の除票は住所地、戸籍附票は本籍地の市役所、区役所で取れます。)
○出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍等の謄本
(本籍地の市役所、区役所、被相続人の婚姻前は親の本籍地の市役所等です。 遠方の場合は郵送で取り寄せます。)
○固定資産税評価証明書(不動産所在地の市役所、区役所等で取れます。)
相続人
○全員の戸籍謄本(被相続人の戸籍謄本と重複する場合は不要です)
○全員の住民票又は戸籍附票
戸籍関係書類一式を返却してもらいたい場合 |
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被相続人・相続人の戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本などの書類については、原則、原本提出ですが、相続関係説明図を作成し、提出された場合には、登記の調査が終了した後に、戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)等の原本が戻ってくる取扱いになっています。
相続関係説明図を提出しない限り原本は戻ってきませんので、原本を返してほしい場合は必ず原本還付の手続きをしましょう。:
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