相続登記手続の概要


相続の開始は被相続人の死亡時


相続とは、ある人(被相続人)が死亡した場合、そのものに属していた一切の財産的権利義務が、その者の親族の中の一定の者(相続人)に当然に承継されることをいいます。また、失踪宣告を受けた人は死亡したものとみなされますので、死亡した場合と同様に相続が開始します。

相続は被相続人が死亡した瞬間から自動的に開始されます。相続人が被相続人の死亡の事実を知らなくても、被相続人の死亡によって相続は開始され、財産に属する一切の権利義務は相続人に移ります。名義変更などは事後の手続きでしかありません。

遺言書の有無の確認


相続が開始した場合、確認しなければならないのは、遺言書があるかどうかです。遺言書があれば、遺言書に従った相続手続きをするのが原則だからです。

平成元年以降に作成された公正証書による遺言書の有無については、公証役場に照会することができます。照会する公証役場はどこでもかまいませんので、最寄りの公証役場に問い合わせてください。

遺産分割による相続


遺言書がない場合には、誰がどの遺産を相続するかを決めることになります。一般的には、相続人全員で遺産分割協議をして、誰が何を相続するかを決めることになります。

法定相続分による相続


遺言書もなく、遺産分割協議もしていない場合には、法定相続分によって相続登記をすることができます。法律で定められた相続する割合を「法定相続分」といいます。

相続登記にかかる費用


おもに、次の3つの費用の合計になります。

①登録免許税
登記申請をする際に、登録免許税という名の税金を納めます。
登録免許税額は不動産の価格の1000分の4(0.4パーセント)です。

②各種書類の取得費用
相続登記を申請する場合は、売買の登記などに比べ、戸籍関係書類など多くの書類を揃える必要があり、費用がかさむことも多くなります。

③専門家(司法書士)に依頼した場合の報酬
司法書士の報酬は、相続登記の場合、相続人の数、取り寄せる書類の通数、不動産の数など簡易な場合と複雑で手間のかかる場合などケース・バイ・ケースで変動しますので、事前に概算金額を確認されることをおすすめします。

相続登記の申請時期(期限)


相続登記は、いつまでにしなければならないという決まりはありませんが、登記する義務もありません。なるべく早めに申請するのがよいでしょう。登記簿上の所有者は死亡しているわけですから、相続人が相続した不動産を売ることはできませんし、その不動産を担保に金融機関からお金を借りることもできません。

また、長い間登記を放置しておくと相続権のある人が次第に増え遺産分割協議が難しくなり、登記の必要書類も多くなります。実際、何代も相続登記をしていない間に法定相続人が100人以上に増え、事実上相続登記が不可能になってしまっている例もあります。相続未登記が原因で公共工事(道路・下水道など)がなかなか進まない地域もあります。

このように、あとあと面倒なことになることもありますので、相続登記はなるべく早くすませておいたほうがよいと思います。

相続登記の効力


相続登記の効力については、 相続の効力等に関する見直し 2019年7月1日施行 をご参照ください。


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