遺留分制度に関する見直し 2019年7月1日施行
おもな改正点 |
1 遺留分侵害額の計算方法の明確化 → 遺留分額の算定
2 遺留分侵害があった場合の権利が金銭債権化 → 遺留分侵害額の請求
遺留分とは |
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遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人のために、その生活保障を図るなどの観点から、法律上必ず残しておかなければならない相続財産の一定割合の取り分をいいます。
遺留分の割合 |
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総体的遺留分の割合・
相続人 | 被相続人の財産に対する割合 | |
1 | 直系尊属のみが相続人の場合 | 3分の1 |
2 | その他の場合 | 2分の1 |
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遺留分権利者が複数の場合、上記の割合に法定相続分を乗じたものが、各遺留分権利者の遺留分の割合になります。
たとえば、相続人が配偶者、子A、子Bの場合
法定相続分は、配偶者が2分の1、子A、子Bは各4分の1ですから、
配偶者の遺留分は 2分の1(遺留分の割合)×2分の1(法定相続分)=4分の1
子A の遺留分は 2分の1(遺留分の割合)×4分の1(法定相続分)=8分の1
子B の遺留分も同じです。
たとえば、相続人が配偶者と被相続人の母の場合
法定相続分は、配偶者が3分の2、母は3分の1ですから、
配偶者の遺留分は 2分の1(遺留分の割合)×3分の2(法定相続分)=6分の2
母 の遺留分は 2分の1(遺留分の割合)×3分の1(法定相続分)=6分の1
となります。
遺留分額の算定 |
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遺留分を算定するための財産の価額は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与した財産の価額を加えた額から債務の全額を控除した額とします(民法1043条1項)。
贈与は、相続開始前の1年間にしたものに限りその価額を算入します。ただし、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、1年前の日より前にしたものについてもその価額を算入します(同1044条1項)。
なお、相続人に対する贈与については、相続開始前の10年間にしたものに限り、その価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る)を算入し、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をしたときは、10年前の日より前にしたものについてもその価額(婚姻若しくは養子縁組のため又は生計の資本として受けた贈与の価額に限る)を算入します(同条3項)。
遺留分侵害額の請求 |
今回の民法の改正により、遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるとしました(民法1046条1項)。
上記改正により、従前の遺留分減殺を登記原因とする所有権の移転登記の申請は、受理されないことになりました。
この改正後の規定は、改正民法の施行の日(令和元年7月1日)以後に開始した相続について適用され、同日前に開始した相続については、なお従前の例によります。
遺留分侵害額請求権の消滅 |
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遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害額する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間行使しないと、遺留分侵害額の請求権は、時効によって消滅します(民法1048条前段)。
また、知る知らないにかかわらず、相続の開始のときから10年を経過したときも、同様に消滅します(同条後段)。
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