法定相続情報証明制度について
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平成29年5月29日から、全国の登記所(法務局)において、各種相続手続に利用することができる「法定相続情報証明制度」が始まりました。この制度を利用することで、今後の相続手続きが今までより簡単になり、相続人の負担軽減につながることが期待されています。
法定相続情報証明制度創設の目的 |
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不動産の登記名義人(所有者)が死亡して相続が発生すると、所有権の移転登記(相続登記)が必要になりますが、不動産の登記は手間や時間がかかるため、相続登記がされないまま放置されている不動産が増加しています。
相続登記が未了のまま放置されることは、所有者不明土地問題や空き家問題を生じさせる大きな要因の一つであるとされ、平成28年6月に相続登記の促進に取り組むことやそのための制度を検討することが閣議決定されました。
そこで、相続人の相続手続きにおける手続的な負担軽減と、本制度を利用する相続人に、相続登記を直接促す契機を創出することにより、今後相続登記が未了のまま放置されることのないようにするとともに、相続登記(不動産の名義変更手続)を促進するために、新たな制度として創設されたものです。
法定相続情報証明制度とは |
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各種の相続手続を行うには、被相続人と相続人の戸籍を集め、相続関係を証明する必要がありますが、登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて被相続人と相続人の戸籍の内容を一覧図にした「法定相続情報一覧図」を作成してその保管を申し出れば、登記官がその一覧図に認証文を付して、以後5年間、無料で法務局の証明がある法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)を無料で交付します。
その後の相続手続は、法定相続情報一覧図の写しを利用いただくことで、戸除籍謄本等の束を何度も出し直す必要がなくなります。
法定相続情報証明は、相続手続における相続関係の確認を簡素化し、また複数の相続手続を平行して行うことを可能とするなど、相続手続全体を促進しようとするものです。
法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)の交付を受けるまでの流れ |
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1 必要書類の収集
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2 法定相続情報一覧図の作成
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3 申出書の作成・記入、登記所へ申し出
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4 法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)の交付
1 必要書類の収集
用意する必要のある書類は、次のとおりです。
書類名 | 取得先 |
① 被相続人の戸徐籍謄本 出生から死亡までの連続した戸籍謄本、除籍謄本、 改製原戸籍謄本等 |
被相続人の本籍地の 市区町村役場 |
② 被相続人の住民票の除票 (本籍地の記載のあるもの) |
被相続人の最後の住所地 の市区町村役場 |
③ 被相続人全員の現在の戸籍謄本又は抄本 | 各相続人の本籍地の 市区町村役場 |
④ 申出人(相続人の代表となって、手続きを進める 方)の氏名・住所を確認することができる公的書類 以下に例示する書類のいずれか一つ ◇運転免許証の両面のコピー ※ ◇マイナンバーカードの表面のコピー ◇住民票の写し ※ ※原本と相違がない旨を記載し、申出人の記名・押印 をしてください。 |
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⑤ 法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する 場合は、各相続人の住民票の写し又は戸籍の附票 ※法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載するか どうかは、相続人の任意です。 |
各相続人の住所地の 市区町村役場 |
⑥ 委任による代理人が申し出の手続きをする場合は、 1 委任状 2 親族が代理する場合は、申出人と代理人が親族 関係にあることが分かる戸籍謄本 (①又は③の書類と重複する場合は不要です。) 3 資格者代理人が代理する場合は、資格者代理人 団体所定の身分証明書の写し等 |
2について、市区町村 役場 |
⑦ ②の書類を取得することができない場合は、 被相続人の戸籍の附票 |
被相続人の本籍地の 市区町村役場 |
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2 法定相続情報一覧図の作成
相続人又は代理人が被相続人及び戸籍の記載から判明する相続人を一覧にした図を作成します。
法定相続情報一覧図に記載するべき事柄は、次のとおりです。
① 被相続人の氏名、生年月日、最後の住所及び死亡の年月日
② 相続開始の時における同順位の相続人の氏名、生年月日及び被相続人との続柄
(任意的記載事項として、「相続人の住所」も記載可能)
③ 法定相続情報一覧図の作成年月日、申出人の氏名、作成者の署名又は記名押印、作成者の住所(資格者代理人であれば事務所所在地)
~法定相続情報証明制度について~ (PDF形式 : 338KB)
法定相続情報証明制度の手続の流れ (PDF形式 : 388KB)
法定相続情報証明制度(多くの方々に利用いただいております) (PDF形式 : 307KB)
法定相続情報一覧図は、A4サイズの白い紙に記載してください。
その他の留意点
✔ 相続人の住所の記載は任意です
(記載した場合は、その相続人の住民票の写しが必要になります)。
✔ 相続放棄をした相続人がいる場合も、一覧図には氏名、生年月日及び続柄を記載してください。
✔ 推定相続人が廃除された場合は、その方の氏名、生年月日及び続柄は記載しないでください。
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3 申出書の作成・記入、登記所へ申し出
申出書に必要事項を記入し、1で用意した書類、2で作成した法定相続情報一覧図と合わせて登記所へ申し出をします。
申出をする登記所は,以下の地を管轄する登記所のいずれかを選択してください。
① 被相続人の本籍地
② 被相続人の最後の住所地
③ 申出人の住所地
④ 被相続人名義の不動産の所在地
申出書には、
① 申出人の住所、氏名、連絡先、被相続人との続柄
② 利用目的
③ 交付を求める通数
④ 申し出の年月日
などを記載しなければなりません。
4 法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)の交付
申し出後は、登記官が提出書類の不足や誤りがないことを確認し、法定相続情報一覧図の写し(法定相続情報証明)を交付します。なお、申し出の際に添付した戸籍謄本などの書面は返却されます。
本制度の申出は、申出人からの委任によって、代理人に依頼することができます。
相続登記、法務局提出書類の作成の専門家である司法書士にご依頼いただくと、戸籍謄本等の取得、一覧図の作成、法務局への提出、交付される法定相続情報一覧図の写しの受け取りまで、すべてを代理して行います。
なお戸籍謄本等の取得、法定相続情報一覧図の作成等は、想像以上に大変ですので、戸籍謄本等の取得から法定相続情報一覧図の写しを交付してもらうまでの全てを代理人に依頼することをお勧めします。
当事務所への法定相続情報証明制度に関するご相談、お問い合わせ方法 |
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